付録 H: アクセシビリティのサポート
目次
この付録は参考であって、規定ではない。
H.1 WAI アクセシビリティ指針
この付録では、 W3C の Web Accessibility Initiative ( WAI )により出版されたアクセシビリティについての指針がどのように SVG に適用されるかについて説明する。
This appendix explains how accessibility guidelines published by W3C's Web Accessibility Initiative (WAI) apply to SVG.
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ウェブ内容アクセシビリティ指針 (WCAG) 2.0
[WCAG2]
は、文書作成者がウェブ内容を作成するにあたって身体的に不利な条件を持つ人々からもアクセス可能にする方法を説明している。
The Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0 [WCAG2] explains how authors can create Web content that is accessible to people with disabilities.
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文書作成ツール・アクセシビリティ指針 1.0
[ATAG]
は、開発者が SVG 文書作成ツールなどの文書作成ツールを設計するにあたって身体的不利な条件を持つ人々からもアクセス可能にする方法を説明している。
SVG の仕様に適合する
ためには、 SVG 文書作成ツールは ATAG (優先度 1 )に適合していなければならない。
SVG における要素の
グループ化
および
再利用
のサポートは、アクセス可能な SVG 文書作成ツールの設計に関連する。
The Authoring Tool Accessibility Guidelines 1.0 [ATAG] explains how developers can design accessible authoring tools such as SVG authoring tools. To conform to the SVG specification, an SVG authoring tool must conform to ATAG (priority 1). SVG support for element grouping and reuse is relevant to designing accessible SVG authoring tools.
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ユーザエージェント アクセシビリティ指針 1.0
[UAAG]
は、開発者が SVG 対応ブラウザなどの UA を設計するにあたって、身体的不利な条件を持つ人々からもアクセス可能にする方法を説明している。
SVG の仕様に適合するには、 SVG-UA は UAAG に適合すべきである。
SVG による拡縮, スタイルシート, DOM, メタデータのサポートは、アクセス可能な SVG-UA の設計に関連してくる。
The User Agent Accessibility Guidelines 1.0 [UAAG] explains how developers can design accessible user agents such as SVG-enabled browsers. To conform to the SVG specification, an SVG user agent should conform to UAAG. SVG support for scaling, style sheets, the DOM, and metadata are all relevant to designing accessible SVG user agents.
W3C ノート
SVG のアクセシビリティ機能
[SVG-ACCESS]
には、これら3つの指針による要件を SVG に適用する方法についての詳細が記されている。
The W3C Note Accessibility Features of SVG [SVG-ACCESS] explains in detail how the requirements of the three guidelines apply to SVG.
H.2 SVG 内容アクセシビリティ指針
この節では、文書作成者がアクセス可能な SVG 文書をどのようにして作成するかについてを手短に説明する。
SVG のアクセシビリティ機能
[SVG-ACCESS]
の要約である。
This section explains briefly how authors can create accessible SVG documents; it summarizes Accessibility Features of SVG [SVG-ACCESS].
- グラフィックの代替テキストを提供すること。
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グラフィックのテキスト内容(例えば
text
要素の中)が自身の役目を説明する場合は、代替テキストは不要である。
テキスト内容から機能の意味が明らかでない
text
要素には
title
子要素を利用して説明を加えること。
When the text content of a graphic (e.g., in a ‘text’ element) explains its function, no text equivalent is required. Use the ‘title’ child element to explain the function of ‘text’ elements whose meaning is not clear from their text content.
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グラフィックが説明的テキスト内容を含んでいない場合、代替テキストが必要である。
代替テキストが複雑なものであるならば
desc
要素を、そうでない場合は
title
子要素を利用すること。
When a graphic does not include explanatory text content, it requires a text equivalent. If the equivalent is complex, use the ‘desc’ element, otherwise use the ‘title’ child element.
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グラフィックが意味を持つ部品から構築されている場合は、解説も意味を持つ部品から構築すること。
If a graphic is built from meaningful parts, build the description from meaningful parts.
- 色に頼ってはならない。
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情報の伝達に色のみを利用しないこと。
Do not use color alone to convey information.
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色のコントラストを十分確保すること。
ある種の色の組み合わせを必要とする利用者が利用者スタイルシートを適用できるように、スタイルシート利用すること。
Ensure adequate color contrast. Use style sheets so that users who require certain color combinations may apply them through user style sheets.
- マークアップとスタイルシートを正しく利用すること。
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テキストは画像や曲線ではなく、文字データとして表現すること。
テキストのスタイルにはフォントを利用すること。
文書作成者は自身のフォントを SVG で記述して良い。
Represent text as character data, not as images or curves. Style text with fonts. Authors may describe their own fonts in SVG.
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構造を表示から分離すること。
Separate structure from presentation.
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g
要素と多彩な解説により SVG 文書に構造を与えること。
オブジェクトに名前を付けて再利用すること。
Use the ‘g’ element and rich descriptions to structure SVG documents. Reuse named objects.
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グラフィックス表現だけでなく高度に構造化された文書を公開すること。
多彩な構造を備える文書はグラフィックスとして, スピーチとして, あるいは点字として出力できる。
例えば、数式は
MathML
[MATHML]
で表現し、 SVG は説明的なグラフィックに利用すること。
Publish highly-structured documents, not just graphical representations. Documents that are rich in structure may be rendered graphically, as speech, or as braille. For example, express mathematical relationships in MathML [MATHML] and use SVG for explanatory graphics.
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SVG の文法に則った文書を作成すること。
Author documents that validate to the SVG grammar.
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グラフィックおよび聴覚の呈示にスタイルシートを利用すること。
Use style sheets to specify graphical and aural presentation.
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スタイルシートには相対単位を使うこと。
Use relative units in style sheets.
- 自然言語の利用のされ方を明快にすること。
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どの自然言語が内容に用いられていて、どこで変更されているかを
xml:lang
の利用により明らかにすること。
Use ‘xml:lang’ to identify the natural language of content and changes in natural language.
- 動的内容へのアクセスを確保すること。
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動的内容の変化による更新を通知する代替テキストを用意すること。
Ensure that text equivalents for dynamic content are updated when the dynamic content changes.
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スクリプトや他のプログラムオブジェクトの実行が切られている、あるいはサポートされていなくても SVG 文書が利用できるようにすること。
Ensure that SVG documents are usable when scripts or other programmatic objects are turned off or not supported.